・本件は、「まぐまぐ」第207号(2016.1.3)に掲載したものです。
・参考に供したい。




『朝3分、日光を浴びることの大切さを学ぶ!』(4の1)



〇はじめに
・『朝3分間、太陽の光を浴びること』が、いかに大切かについて、以前も解説したが、今回はより深く探求する。

〇人間は宇宙と「時間」を通じてつながっている
・私たちの身体は、宇宙のリズムに呼応して動いています。この規則性を「サーカディアンリズム」と言います。「サーカ」とは「おおむ   ね」、「ディアン」は「1日」という意味です。この生体リズムをコントロールしているのが、「体内時計」です。
・地球上の全ての生物は、体内時計を働かせることによって、宇宙の流れを感じ取り、地球上にて進化を遂げてきました。生物が地球上 に誕生して約38億年、繁栄する生物がいる一方で、過酷な環境に馴染めず、淘汰されていった生物も種々様々にありました。その多 くは、体内時計を獲得できなかったことが背景にあります。
・現代人の大半は、体内時計に意識を向けることなく生活を送っています。体内時計を軽んずる生物種は、地球から淘汰される運命にあ ることも知らずに・・・。


〇体内時計が狂えば、ガンにもなる
・今、日本では一生のうちに2人に1人がガンになり、3人に1人がガンで亡くなっていると推計されています。
・なぜ、こんなにたくさんの人がガンで命を落としているのでしょうか。ガンは、昔からあった病気です。これは細胞の病気であり、多 細胞生物である人間にとって避けがたい病気です。だからといって、これほど多くの人が次から次と罹患(りかん)するようになったの は、現代になってからです。
・昼夜逆転型の仕事やシフトワークの人に、ガンが多いことはかねてから報告されています。昼夜が逆転する生活や不規則な生活では、 食生活が乱れやすく、疲労が取りにくいこと、労働環境が過酷であることなどが問題視されていました。
・しかし、近年の研究により、体内時計を無視した生活が、発ガンを促していることが明らかにされてきています。
・私たちの身体は、約60兆個の細胞によって構成されています。一つひとつの細胞核の中には、「生物の設計図」と言われる、膨大な数 の遺伝子が詰め込まれています。その一部には、「時計遺伝子」と呼ばれる十数個の遺伝子が含まれています。ガン細胞は、時計遺伝子 に異常が起こると発生することがわかってきたのです。
・人間の身体を構成する60兆個の細胞は、細胞分裂によって、日々、新しいものが古いものと入れ替わり、働

きを維持しています。こ れを新陳代謝と言います。1日に新旧が入れ替わる細胞は、全体の約2%です。つまり、単純に計算して、1兆2000億個もの細胞 が、細胞分裂によって毎日生まれていることになります。
・これほどの膨大な数の細胞が周期的に正しく分裂を行えるのは、時計遺伝子がすべての細胞に組み込まれ、正常に働いているためで  す。しかし、時計遺伝子に異常が生じると、細胞が分裂するまでの周期に狂いが出ます。これが、ガン細胞が誕生する大きな要因の一 つだろうと考えられるようになってきたのです。
・私たち人類は、体内時計を持つことが出来たからこそ、進化を遂げてこられた一つの生物種です。しかし、大半の現代人は体内時計の リズムになど目もくれず、昼夜関係なく好き勝手な生活を送っています。大勢の人が次々にガンで倒れていく背景の一つとして、体内 時計を無視した生活環境があるのは間違いありません。
・体内時計のリズムに素直に従わなくなった日本人が次々と、ガンという難病に侵されています。これは、自然の営みを無視し続けてい る日本人に対する地球からの警告とは言えないでしょうか。


〇なぜ、生体リズムは「だいたい1日」のリズムを刻むの
・「時間を制する者は、人生を制す」などとよく言われます。たしかそういう一面もあるでしょう。しかし、時間とは宇宙のリズムがもた らす現象であり、人が身勝手に制御できるものではありません。だからこそ、私たちは宇
宙のリズムとサーカディアンリズムに調和を もたらしてくれる体内時計に、もっと謙虚な気持ちで向き合うべきです。
・例えば、時計は、1日を24時間ときっちり計算します。しかし、私たちの体内に埋め込まれたサーカディアンリ
ズムは、そうではあ りません。サーカディアンリズムは、「おおむね1日のリズム」という意味です。ではなぜ、「おおむね1日のリズム(サーカディアンリズム)」であり、きっちり24時間ではないのでしょうか。
・その答えは、地球の自転周期がだんだん伸びていることにある、とされています。地球が誕生したのは約46
億年前と見られていま  す。その時、地球の自転周期はなんと5時間だったそうです。10億年前は約20時間、5億年前は約21時間という周期で、1日が だんだん長くなってきました。人間の祖先である霊長類が生ま

れた約3500万年前は、約23.5時間だったとされています。そし て今は、概ね24時間の周期で1日が繰り返されています。
・このように地球の自転周期は、ほんのわずかずつですが、日々伸びています。一定ではないのです。こうしたズレに未来永劫対応でき るように「だいたい1日」という、伸びしろの大きいサーカディアンリズムが組み込まれたと考えられています。
・例えば、夜行性の動物であるネズミは、サーカディアンリズムが約23時間と見られています。これに対して、人間は約25時間の周 期を持っていると、これまでは言われていました。最近、ハーバード大学の研究により、人間のサーカディアンリズムは24時間11 分であると示されています。ただし、これは平均値であって、ここを中心に正規分布しています。つまり、ヒトという同じ生物種で  あっても、サーカディアンリズムには個人差があり、人それぞれ違うというわけです。

・私たちが、地球上で生きていくには、自転周期とサーカディアンリズムのズレを、毎日リセットしなければなりません。そうしなけれ ば、生体リズムはどんどん後ろにズレ、生命を保てなくなります。そのスイッチの役目を果たしているのが、体内時計です。
・人間の体内時計は、光を浴びることにより、サーカディアンリズムを地球の自転に合わせると言う機能を持っています。起床時に太陽 の光を浴びると、体内時計の働きによりサーカディアンリズムが一度リセットされ、地球の自転周期に合致するというシステムです。 そのため、「朝陽を浴びる」ということをしないと、体内時計はズレを解消できず、それによって働きを乱していくことになるのです。

(~次号に続く)