下記は、「まぐまぐ」メルマガ第32号(2014.3.30)に掲載したものです。
参考に供したい。
『アイディアは、いつ、どこから生まれるのか!』
○はじめに
・今回は、アイディアが、いつ、どこから生まれるのかを、改めて考えてみたい。ある学者の定義によると、
「アイディアとは、着想のこと」と言う。発想に、限りなく近いが、少し違う。発想は、あることを思いつくこと、
思いついた考え、という意味に使われるので、“発”ではなく“着”として着想が好ましいとのこと。
○アイディアが生まれる背景
1)偶然現れる
・アイディアは、いったいどこから生まれるのか。アメリカのL.L.ホワイトと言う人が『探求』と言う本の中で・・
・「ずっと考えていて、いささか疲れる。そしてしばらく忘れるともなく忘れていると、突然、さっとアイディア
がひらめく。考えてもいない、思いがけぬときにひょっこりあらわれるのだ。
・神からの授(さず)かりのものであるかのようだ。すべての着想がそうだと言うのではないが、実に多くのア
イディアがそうである。ことに重要な着想にはこういうのが多い・・・」と述べている。説明がつかないから、
神秘的と考えているのである。
2)眠ろうとベットに横になったら、奇跡が起きた
・作曲家のワグナーは自身が語っているところによると、思いがけない奇跡の様に楽想(がくそう)が浮かん
だと言う。
・“ニーベルンゲンの指環”のテーマを温めて数年、何とか考えをまとめようと苦心していたがうまくいかない。
ところが、1863年9月4日、体調を崩して不眠、翌日は長い散歩をし、その午後、眠ろうとしてベットに横
になった。すると、奇跡が起こった。半ば恍惚(こうこつ)の状態におちいり、深い水底へ沈んでいくような気
持になった。それまで騒がしかった外の物音が突如(とつじょ)、頭の中で楽音に変じたと言うのである。歩
いて、眠ったのが良かったのであろうか。
3)普段とは違う行動をとった
・フランスの数学者ポアンカレは、珍しい経験を書き残している。おおよそ半月の間、毎月机に向かって、何
時間もぶっ続けに、色々な組み合わせを試してみるが結果が出ない。そんな日のある晩、普段はしないの
に、寝る前にブラックのコーヒーを飲んだ。そのせいか寝つかれずにいると、頭の中でたくさんの考えが踊
りまわり、互いに衝突し始めた。そのうちに、偶然、2つのものが結合、安定した組み合わせになった。朝
になって、ポアンカレは、彼の関数論(かんすうろん)の一部が証明されたことを確信することが出来たと言
うのである。
4)夢の啓示(けいじ)による着想
・デカルトは、長いこと、確実不動なものを求めて、本を読み、人の教えを乞うたりしたが、いずれも空しかっ
た。ところが1619年11月10日、夢の中で、求める絶対決定的なものが、自分の中にあると言う発見をし
た。それが、デカルトの有名な言葉“われ思う、故にわれあり”(=あらゆる存在は疑うことが出来るが、そ
う考えている自己の存在だけは疑うことが出来ないと言うこと)である。
5)入浴中
・ギリシャのアルキメデスは入浴中に比重の原理を思いつき、ユーリーカ(見つけたり)と叫んで飛び出した
と伝えられているのは、あまりにも有名な話である。
○メモを忘れずに
・アイディアは、いつどこであらわれるか知れない。しかも、考えている最中でないことが多い。ほかのことを
している時である。その時、ひょいと、ひらめくように頭をかすめるのがアイディアだ。書き逃したら、二度と
現れないと思い、メモの準備を怠らないことが大事である。
・ただ、厄介なのは、いつどこで現れるか分からないと言うことである。寝床かも知れない、散歩中、入浴中
等々、ありとあらゆるところである。その場に合ったメモ用紙の工夫がいる。
○アイディア作りに必要なこと
・アイディアを収集する為に、常日頃忘れがちなのは、頭の中の情報整理だ。
・その為に、お勧めしたいのが「睡眠」である。睡眠は、最も自然な忘却がある。人間は、たえず頭の掃除を
していないといけない。それをいちいち心掛けているなどということは、とてもできるものではない。別に努
力しないでも、頭を綺麗(きれい)にするように生理的になっている。なにもしなくとも、自然に頭の清掃が
規則的に行われる。それが、睡眠である。
・眠りは、身体を休めるものと考えるのが普通だが、頭の掃除もしているのだとは気がつかない人が多い。
・寝ている人は、一夜の間に、何度かのレム睡眠を行っている。何をしているかと言うと、頭は外から入った
情報の分別をしてガラクタをゴミ出しする作業、掃除をしているのである。自然忘却で、朝、目覚めて、爽
快な気分になるのは、頭の整理、整頓が出来ていることを表している。不眠だったり、レム睡眠が妨(さま
た)げられたあとだと、頭がにごって重くなる。
○我を忘れるぐらい、夢中になることも必要
・気の合う人と夢中になって話し合っているときなど、頭は喜々として働く。特に畑違いの人との交流は、豊
かなアイディアの温床となる。
・聞いている他の人が、自分のしていることを良く知らないと思うと、不思議に自信が湧いてくる。“お山の大
将”の気分である。心が弾(はず)む。調子に乗って、よく考えないことまでしゃべる。自分でもびっくりするよ
うなことがある。はなはだ創造的で、なによりたのしい。
○緊張と弛緩(しかん)から創造が生まれる
・新しいことを考える。新しいものを工夫する。それには考えつめることが必要になる。絶えず考える。頭は
緊張する。しかし、その状態で、よい考えを浮かぶことは少ない。やはり、ひと休みしないといけない。
・緊張した思考のあと弛緩(しかん)の時間を持つのは、なんとかアイディアは欲しいと思い詰めている時、容
易ではないが、はやる心を抑えて、待つ心を持ってこそ初めて、創造が訪れるのである。
○常識を疑え
・アイディア、発明、発見の基本姿勢として、「常識を疑え」と言うのがある。既存の権威なども常識に支えら
れているから、だいたいにおいて非創造的であるのを避けられない。そう考えてみると、誤っておこったこ
と、失敗したことは、常識を超越しているためにクリエイティブであるのだと考えられる。そうだとすれば、失
敗、誤り多き人生は新しいものを生み出すのに適していると評価することが出来るようになる。
○私感
・アイディアを得る過程は、“ひらめき”を入手する手段と、極めて近似していることに気づく。ただ、どちらか
と言うと、“ひらめき”は、潜在意識への働きかけが深い・・・・。
【参考文献】外山滋比古著『アイデアのレッスン』
参考に供したい。
『アイディアは、いつ、どこから生まれるのか!』
○はじめに
・今回は、アイディアが、いつ、どこから生まれるのかを、改めて考えてみたい。ある学者の定義によると、
「アイディアとは、着想のこと」と言う。発想に、限りなく近いが、少し違う。発想は、あることを思いつくこと、
思いついた考え、という意味に使われるので、“発”ではなく“着”として着想が好ましいとのこと。
○アイディアが生まれる背景
1)偶然現れる
・アイディアは、いったいどこから生まれるのか。アメリカのL.L.ホワイトと言う人が『探求』と言う本の中で・・
・「ずっと考えていて、いささか疲れる。そしてしばらく忘れるともなく忘れていると、突然、さっとアイディア
がひらめく。考えてもいない、思いがけぬときにひょっこりあらわれるのだ。
・神からの授(さず)かりのものであるかのようだ。すべての着想がそうだと言うのではないが、実に多くのア
イディアがそうである。ことに重要な着想にはこういうのが多い・・・」と述べている。説明がつかないから、
神秘的と考えているのである。
2)眠ろうとベットに横になったら、奇跡が起きた
・作曲家のワグナーは自身が語っているところによると、思いがけない奇跡の様に楽想(がくそう)が浮かん
だと言う。
・“ニーベルンゲンの指環”のテーマを温めて数年、何とか考えをまとめようと苦心していたがうまくいかない。
ところが、1863年9月4日、体調を崩して不眠、翌日は長い散歩をし、その午後、眠ろうとしてベットに横
になった。すると、奇跡が起こった。半ば恍惚(こうこつ)の状態におちいり、深い水底へ沈んでいくような気
持になった。それまで騒がしかった外の物音が突如(とつじょ)、頭の中で楽音に変じたと言うのである。歩
いて、眠ったのが良かったのであろうか。
3)普段とは違う行動をとった
・フランスの数学者ポアンカレは、珍しい経験を書き残している。おおよそ半月の間、毎月机に向かって、何
時間もぶっ続けに、色々な組み合わせを試してみるが結果が出ない。そんな日のある晩、普段はしないの
に、寝る前にブラックのコーヒーを飲んだ。そのせいか寝つかれずにいると、頭の中でたくさんの考えが踊
りまわり、互いに衝突し始めた。そのうちに、偶然、2つのものが結合、安定した組み合わせになった。朝
になって、ポアンカレは、彼の関数論(かんすうろん)の一部が証明されたことを確信することが出来たと言
うのである。
4)夢の啓示(けいじ)による着想
・デカルトは、長いこと、確実不動なものを求めて、本を読み、人の教えを乞うたりしたが、いずれも空しかっ
た。ところが1619年11月10日、夢の中で、求める絶対決定的なものが、自分の中にあると言う発見をし
た。それが、デカルトの有名な言葉“われ思う、故にわれあり”(=あらゆる存在は疑うことが出来るが、そ
う考えている自己の存在だけは疑うことが出来ないと言うこと)である。
5)入浴中
・ギリシャのアルキメデスは入浴中に比重の原理を思いつき、ユーリーカ(見つけたり)と叫んで飛び出した
と伝えられているのは、あまりにも有名な話である。
○メモを忘れずに
・アイディアは、いつどこであらわれるか知れない。しかも、考えている最中でないことが多い。ほかのことを
している時である。その時、ひょいと、ひらめくように頭をかすめるのがアイディアだ。書き逃したら、二度と
現れないと思い、メモの準備を怠らないことが大事である。
・ただ、厄介なのは、いつどこで現れるか分からないと言うことである。寝床かも知れない、散歩中、入浴中
等々、ありとあらゆるところである。その場に合ったメモ用紙の工夫がいる。
○アイディア作りに必要なこと
・アイディアを収集する為に、常日頃忘れがちなのは、頭の中の情報整理だ。
・その為に、お勧めしたいのが「睡眠」である。睡眠は、最も自然な忘却がある。人間は、たえず頭の掃除を
していないといけない。それをいちいち心掛けているなどということは、とてもできるものではない。別に努
力しないでも、頭を綺麗(きれい)にするように生理的になっている。なにもしなくとも、自然に頭の清掃が
規則的に行われる。それが、睡眠である。
・眠りは、身体を休めるものと考えるのが普通だが、頭の掃除もしているのだとは気がつかない人が多い。
・寝ている人は、一夜の間に、何度かのレム睡眠を行っている。何をしているかと言うと、頭は外から入った
情報の分別をしてガラクタをゴミ出しする作業、掃除をしているのである。自然忘却で、朝、目覚めて、爽
快な気分になるのは、頭の整理、整頓が出来ていることを表している。不眠だったり、レム睡眠が妨(さま
た)げられたあとだと、頭がにごって重くなる。
○我を忘れるぐらい、夢中になることも必要
・気の合う人と夢中になって話し合っているときなど、頭は喜々として働く。特に畑違いの人との交流は、豊
かなアイディアの温床となる。
・聞いている他の人が、自分のしていることを良く知らないと思うと、不思議に自信が湧いてくる。“お山の大
将”の気分である。心が弾(はず)む。調子に乗って、よく考えないことまでしゃべる。自分でもびっくりするよ
うなことがある。はなはだ創造的で、なによりたのしい。
○緊張と弛緩(しかん)から創造が生まれる
・新しいことを考える。新しいものを工夫する。それには考えつめることが必要になる。絶えず考える。頭は
緊張する。しかし、その状態で、よい考えを浮かぶことは少ない。やはり、ひと休みしないといけない。
・緊張した思考のあと弛緩(しかん)の時間を持つのは、なんとかアイディアは欲しいと思い詰めている時、容
易ではないが、はやる心を抑えて、待つ心を持ってこそ初めて、創造が訪れるのである。
○常識を疑え
・アイディア、発明、発見の基本姿勢として、「常識を疑え」と言うのがある。既存の権威なども常識に支えら
れているから、だいたいにおいて非創造的であるのを避けられない。そう考えてみると、誤っておこったこ
と、失敗したことは、常識を超越しているためにクリエイティブであるのだと考えられる。そうだとすれば、失
敗、誤り多き人生は新しいものを生み出すのに適していると評価することが出来るようになる。
○私感
・アイディアを得る過程は、“ひらめき”を入手する手段と、極めて近似していることに気づく。ただ、どちらか
と言うと、“ひらめき”は、潜在意識への働きかけが深い・・・・。
【参考文献】外山滋比古著『アイデアのレッスン』