2014年12月

下記は、「まぐまぐ」メルマガ第102号(2014.12.31)に掲載したものです。
参考に供したい。



癒しの脳内物質、“オキシトシン”の不思議!』(2の1)



○はじめに
・オキシトシンは、ストレスを緩和し、癒しの効果があることが科学的に証明出来るようになり、脚光を浴びてい 
 る。今回は、以前もこの課題に振れたが、改めて、もう少し深く探求してみる。

○オキシトシンとは
・オキシトシンは、1906年、イギリスの研究者によって発見されている。そんなオキシトシンは、長い間、出産・
 授乳ホルモンとし て知られていた。当たり前のことだが、妊娠・出産できるのは女性のみなので、女性ホルモ
 ンだと考えられていた。
・女性ホルモンとしてのオキシトシンの働きは二つあり、その一つは出産時に母体の子宮を収縮させて胎児を
 母体から出させること。出産時になるとたくさんのオキシトシンが分泌されるようになるのはそのためだ。
・ちなみに、オキシトシンの語源は、「速い」と「陣痛」と言う意味のギリシャ語である。
・現在でも産科の領域で、陣痛促進剤として広く用いられている。
・そして、もう一つの働きは、乳汁分泌の促進。出産後の母体の乳腺に働きかけ、もっと母乳を作るよう指令を
 出す役目を担っている。
・この様に、オキシトシンは、「妊娠・出産し、子育てをする女性のみに対して生理的な働きをするホルモン」と言
 うことが、長い間信 じられていました。
・ところが、この10年ほどの間に研究が進み、新たなことが分かって来ました。それまでオキシトシンは分泌量
 がきわめて微量ですぐに分解されてしまうため、正確な測定が困難でした。しかし、測定技術の急速な進歩に
 よって女性ばかりか、男性も分泌知ることが判明。「オキシトシン=女性ホルモン」の定説が覆(くつがえ)った 
 のです。
・そればかりではない。オキシトシンはホルモンとして血中に放出されるだけでなく、下垂体を経ずに視床下部
 から直接、脳内の神経細胞に運ばれることが分かったのです。その細胞にはオキシトシンの受容体が存在す
 ると言うこと。つまりオキシトシンは、「脳の神経 細胞間で情報を伝達する神経伝達物質でもある」ことが解明
 されのです。しかも、オキシトシンの受容体は、脳の中でも「心」を司っ ている領域の神経細胞に多く存在して
 いることが明らかになりました。
・要するに、オキシトシンは、私たちの「心」に影響を及ぼす脳内物質でもある、と言うことです。
・会社帰りのちょいと一杯で癒される。それは、気のせいでも、言い訳でもなく、オキシトシンがもたらす効果に他
 ならない。同僚と一 杯やることでオキシトシンが出る。それが私たちの心に作用した結果が、「癒される」なの
 です。
・既述したような癒しの他、母子の絆を形成したり、男女間の愛情を深めたり、不安や恐怖を軽減したり・・・・。オ
 キシトシンには、 まだまだ様々な効果があることが分かって、いま世界中で注目を集めていると言う。

○脳内物質オキシトシンの働き
・オキシトシンの働きとして、女性の授乳・出産に係るもの以外、どの様なものがあるかを列挙してみると、以下
 の通りである。

1)ストレスを緩和する
・ストレスを受けると、私たちの体内では、まず交感神経が緊張すると言う変化が起こる。次に、副腎髄質からア
 ドレナリンが分泌され、血液に乗って体内をめぐる。怒りや恐怖などのストレスがかかった時、目をハッと見
 開いたり、心臓の鼓動が早くなったりするのは、このアドレナリンの作用によるものだ。これがストレス反応の
 最初の段階だが、ここで問題が解決すれば万事オーケー。身体はま た元通り、平常に戻る。
・問題は上司の嫌がらせが長引いた時である。毎日、毎日、顔を合わせるたびに嫌味を言われ、理不尽な注文
 を押し付けられる。そんなストレスフルな状況が長く続くと、どうなるかである・・・・。
・哺乳類や人間には、以下の様な「ストレス経路」があることが分かっている。
 ストレスを受ける⇒ストレスが「刺激」として視床下部の室(しつ)傍核(ぼうかく)に伝わる⇒室傍核から、「副腎
 皮質を刺激するホル モンを出せ」と指令を出す「副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン」が分泌される⇒「副腎
 皮質刺激ホルモン放出ホルモン」が下垂体を 刺激⇒下垂体から「副腎皮質刺激ホルモン」が出る⇒「副腎皮
 質刺激ホルモン」が副腎皮質を刺激⇒副腎皮質から副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が分泌され 
 る・・・・・。と言う様なストレス経路を辿るのだ。
・ストレス経路の最後に出てくるコルチゾールは、「ストレスホルモン」とも呼ばれ、大量に出続けると、高血圧、
 免疫抑制、糖尿病などの様々なストレス性の病を引き起こす。ストレスが健康に良くないことは周知の事実だ
 が、その元凶(げんきょう)はコルチゾールにあった。
・長期のストレスにさらされた時、コルチゾールが分泌されるのは、闘う事を止めて「来たるべき時」に備えるた
 め。そう考えると非常に分かり易いのではないだろうか。問題は、いつまで経っても「来たるべき時=ストレス解
 消」がやってこないと、厄介なことになる・・・・。以上が、ストレスが身体に与える影響である。
(精神的なストレスの場合)
・ストレスによって影響を受けるのは、身体の病気だけではない。ストレスが、うつ病などの精神的な病の原因
 になることだ。ここで注意が必要なのは、これも又、コルチゾールのせいなのかと言うことだが、答えは否であ
 る。
・実は、ストレスが精神に影響を与える経路は、身体に影響を及ぼす(コルチゾールが出る)経路とは別とにあ
 ることが分かっている。
・スタートは視床下部・室傍核だが、身体的ストレス経路が下垂体(かすいたい)に行くのに対し、精神的ストレス
 経路の場合は脳(のう) 幹(かん)の縫(ほう)線核(せんかく)と呼ばれる部分に影響を与える。
・脳幹は脳の中でも深い部分にあり、人間の生命維持に関わる働きを担う場所。その脳幹の真ん中に位置する
 のが縫線核で、ここにはセロトニン神経がある。
・セロトニンは、うつ病パニック障害など、精神的な病と深く関わる脳内物質だ。その物質を出すセロトニン神経
 があるのが、縫線核。 この部分に視床下部・室傍核を経てストレス情報が伝わることで、セロトニン神経の働
 きが阻害され、その結果がストレスから生じる 心の病と言うことなのである。
・ストレスの経路については、身体的ストレス経路と精神的経路の二つがあることは理解いただけたと思うが、
 オキシトシンは身体的、 精神的、いずれのストレス経路でもスタート地点に当たる視床下部の室傍核に作用
 することが分かっている。室傍核は「ストレス中枢」とも呼ばれる場所だが、オキシトシンはこの部分を抑制す
 る働きを持っているのである。
・つまりオキシトシンが分泌される条件を作ってやれば、ストレス中枢が抑制されるため、ストレス緩和の効果が
 期待できると言うことになるのです。

2)「癒し」をもたらしてくれる
・一般的に言われる「癒し」は、自律神経との絡みで語られることが多い。自律神経は、活動を司る交感神経と
 休息を司る副交感神経とで成り立ち、通常は、テキパキと活動する昼間は交感神経が、一日の活動を終え
 て休息する夜間は副交感神経が、それぞれ優位に働いている。もちろん日中であろうと副交感神経が優位に
 働くことはあるし、夜間でも交感神経が緊張することはある。
・普通に語られる「癒し」とは、昼間であろうが夜間であろうが、副交感神経が優位になっている状況だ。心や身
 体が張り詰めた状況から解放されて「リラックスした状態」とでも言おうか。
・オキシトシンに癒し効果があるとされる最大の理由は、ストレス緩和作用があるからだ。ストレスが減れば誰し
 もホッとして心穏やかに過ごすことが出来る。この状態も立派な「癒し」と言えるのではないか。
・さらにオキシトシンには不安や恐怖による混乱した心理状態を軽減したり、人との絆を強くしたり、心を「ほんわ
 か」させたりする効果もある。ストレス緩和も併せ、この様な働きを全てまとめれば「癒し効果」と呼ぶことが
 出来るのだ。

3)「母性脳」を形成する
・母と子の絆が非常に強いことは、広く知られた事実です。当然のことながら、母親はあれやこれやと子供の世
 話をする。まだ自分では何もできない、生まれたばかりの赤ん坊となるとなおさらだ。
・普通、女性に限らず人間なら誰でも一番大切なのは自分自身である。自己の欲求や幸せを第一に考えて生き
 ている。
・ところが母親になると、その第一の選択肢が我が子に変わる。自分はさておき子供のことが最優先。極端な場
 合には自分の寝食を犠牲にしてまでも、子供の面倒に専念するようになる。怖いものなしで、たとえ火の中、
 水の中、かわいいわが子のためなら命を投げ出してもいいとさえ思う。
・この様な母親の姿勢は「母性脳」によるものだが、母性脳は女性の年齢が一定の段階に達すると自然に発現
 するわけではない。母性脳 は、妊娠、出産、育児があって初めて創り出されるものなのだ。ではなぜこうした
 母性脳が創られるのか。実は、この母性脳の形成にもオキシトシンが主要な役割を担っていることが明らか
 になっている。
・ここで注目すべきは、哺乳(ほにゅう)と言う行動だ。オキシトシンは哺乳類だけが持つ物質なのである。私たち
 人間を含む哺乳類は、母乳を与えることで子供たちを育てるが、赤ん坊が母親の乳首(にゅうしゅ)に触れて母
 乳を吸う行動が引き金となって、オキシトシンは分泌されるのだ。
・人間の授乳期間はほぼ1年。その間、毎日、毎日、一日に何度も繰り返し授乳し、そのたびにオキシトシンが
 分泌されて母親の脳に影響を与え続ける・・・・。かくして母性脳が形成され、母親は母性行動をとるようにな
 ると言うわけだ。
・オキシトシンが母性脳を形成する。良く出来たシステムだと思う。哺乳類の子供は、殻に守られて生まれてくる
 わけではない。裸のまま、無防備な状態で生まれ、誰かが世話をしなければ生き延びることは不可能だ。
・そこでまず行われるのが授乳である。授乳によってオキシトシンが分泌され、出たオキシトシンによって乳汁の
 分泌が促されると言う、子育てにとってよい環境が生まれるばかりか、母親の脳を「子供を育てるのに適した
 脳」に変えてしまうのだ。そう考えると、オキシトシンと言う物質の持つ役割が見えて来るのではないだろうか。
 オキシトシンは「種の存続」と言う、大きな課題を担っていると解釈できる。


(~次号に続く)

本件は、「まぐまぐ」メルマガ第101号(2014.12.28)に掲載したものです。
参考に供したい。



『驚異の効能、“アルカリイオン水“とは!』



○はじめに
・水については、これまであまり感心がなかった。改めて調べてみると驚きだ。近年、学問的に水の効用が実証
 されつつある。

○アルカリイオン水とは
・アルカリイオン水は、水を分解してつくられる電解水の一つで「還元水」とも呼ばれています。
・天然のミネラルウォーターに様々なミネラルを加え、より身体に好いように加工した水を「機能水」と言います
 が、アルカリイオン水は厚生労働省が唯一、認めている機能水です。天然のアルカリイオン水も存在します
 が、身体への吸収率は機能水のアルカリイオン水と同様で、健康・長寿に対する期待も高まります。
・事実、アルカリイオン水は効能が広く、老化予防は勿論のこと、胃酸過多や便秘、リウマチ、骨粗しょう症、アト
 ピー性皮膚炎に効果が確認されています。また、コレステロールや体内脂肪を減らす効果もあるので、生活
 習慣病の予防にも最適です。
・そんな中で、糖尿病に対する予防でもアルカリイオン水は注目を集めています。

○日本の糖尿病の現状
・現在、日本の糖尿病の患者数は約300万人に達し、糖尿病が疑わしい人は800万人、その予備軍を含める
 と1800万人と言う推計も出ているほど、糖尿病は日本人にとって、「国民病」と言えるような病気です。
・糖尿病が増加した背景には、まずカロリーの摂取過多が考えられます。町にはファストフードなどの高カロリー
 食を提供する店が増え、年齢を問わず肥満が増えています。反対に減少しているのが運動量で、日常的に運
 動を続けている人の割合は低く、公共交通機関の発達もあって、現代人の歩く平均距離は頭打ちです。さら
 に、他の生活習慣病と同じ様に、ストレスの増加が糖尿病の患者さんを増やしている面も見逃せません。

○アルカリイオン水の威力
・テキサス大学のG・フェルナンデス教授らが行った研究で、アルカリイオン水にはコレステロールや中性脂肪
 の濃度を薄め、新陳代謝を活発にさせることで糖尿病にも効果があるとの結果が出ています。
・実例として、一時的ではあるが血糖値500となった人が、アルカリイオン水である「島根宝の天然水」(=アル
 カリイオン水)を飲み続けました。すると、みるみるまに血糖値は下がり出しました。
・水を飲むだけで、全ての糖尿病が治るわけではありません。暴飲暴食などの食生活を改めないかぎり、糖尿
 病は予防も治療も不可能です。アルカリイオン水を上手く利用すれば、糖尿病にかからない確率は高まりま
 す。
・小腹が空(す)いた時、喉の渇きを覚えた時、ジュースやスポーツ飲料に手を出さず、アルカリイオン水を飲め
 ば糖尿病予防にもつなが ります。また、食前にコップ一杯のアルカリイオン水を飲めば、満腹中枢を刺激し、
 食べ過ぎの予防にもつながります。是非、試してみてください。

○アルカリイオン水は、痛風や肝臓病にも効く
(痛風について)
・痛風は贅沢病とも言われ、高カロリーの食べ物やアルコールを摂りすぎることが原因の一つと言われていま
 す。細胞内にある核酸中のプリン体が尿酸に変化し、それが排泄されずに関節などで結晶化する病気で 
 す。
・尿酸は身体がアルカリ性になれば排出されやすくなる性質があるので、尿をアルカリ性にするウラリットと言う
 薬を飲み、水は「島根宝の天然水」などのアルカリイオン水を飲み続け治ったのです。
(肝臓病について)
・肝臓はアルコールの分解意外に、代謝、排泄、解毒といった重要な働きをしています。
・肝臓病は、自覚症状の乏しいことが特徴の一つで、一部に損傷が起きても細胞が再生しやすく、症状が現れ
 にくいのです。それゆえに「沈黙の臓器」とも言われ、“持ち主”も気づきにくく、自覚症状が出るころには症状
 がかなり悪化しているケースが少なくありません。
・酒飲みは特に、肝臓をいたわることが必要なのですが、アルカリイオン水は有害物質や老廃物を排泄する働
 きがあるため、肝臓にとっては非常に有難い味方になってくれます。

○アルカリイオン水の正しい飲み方
・アルカリイオン水は、効果の守備範囲が広く、病気予防には最適のミネラルウオーターなのですが、その飲み
 方には注意が必要です。 ポイントは飲む量で、一日当たり体重の5%を超える量は飲んではいけません。
・仮に体重が60キログラムの人であったら、一日3リットルが限度になります。血糖値を下げたい、尿酸を早く
 出したいと、がぶがぶアルカリイオン水を飲むことは危険ですので止めて下さい。
・また、アルカリイオン水は胃をはじめ、体内をアルカリ性にしますから、胃酸などによる殺菌作用が弱まり、食
 中毒を起こしかねません。従って、胃酸の量の少ない人や、胃の切開手術をした後は、飲むことを避けるべき
 です。
・なお、アルカリイオン水のpH値は最初8~9くらいに低く設定し、最終的に9~9.9くらいの水を毎日飲むと良
 いと言われています。

○慢性疲労に、アルカリイオン水と炭酸水の併用が効く
・一般的に、健康体で、激しい運動や、寝不足が続かないかぎり、疲労は一晩ぐっすり眠れば解消する筈です。
 もし、ひどく疲れている ようなら、ステーキや鰻などのスタミナ食を食べれば疲労は吹き飛ぶ、と言う人も少な
 くない筈です。しかし、その一方でスタミナ食を摂っても疲れがなかなか抜けず、慢性疲労や倦怠感に苦しん
 でいる人もたくさんいます。
・ご承知のように、疲労の原因は、体内に発生した乳酸と言う物質です。乳酸は、筋肉の中で脂肪と酸素が燃え
 た後の残りかすの様なものですが、疲労が続くとこの乳酸が増加し、体内は酸性に傾いていきます。すると、
 新陳代謝が衰え、体内に老廃物が溜るため、さらに疲労が増します。いわば「疲労の連鎖」の始まりです。
 悪化すると肩こりや頭痛、さらにはパニック障害の引き金になることがあります。
・この対策としては、酸性に傾いた身体を元に戻すためのアルカリイオン水がおすすめです。また、炭酸水に
 よってできる重炭酸イオンには、乳酸を捉え、尿として排出する働きがありますから、これも効果が期待でき
 ます。
・日常的には、アルカリイオン水を一定量飲み、疲労を特に感じた時には炭酸水を飲むと言う”二刀流“がより効
 果的です。

○私感
・アルカリイオン水の効能が、これほどあるものとは思っていなかった。正直、目からウロコだ。活用しない手は
 ない。実生活で大いに活用しようと思う。

【参考文献】藤田紘一郎著『正しい水の飲み方、選び方』

本件は、「まぐまぐ」メルマガ第100号(2014.12.24)に掲載したものです。
参考に供したい。



『幸せのホルモンとは!』



○はじめに
・一般的に、幸せのホルモンと言えば、セロトニンとドーパミンを言います。今回は、これらの概要について探求
 した。

○セロトニンとは
・セロトニンは人間の精神面に大きな影響を与える神経伝達物質で、心のバランスを整える作用があります。人
 が喜ばしい出来事に遭遇 し、「幸せだなあ」と感じるのも、セロトニンが脳内で分泌されているおかげです。こ
 のセロトニンが不足すると、不安感が高まり、 うつ病や不眠症などの睡眠障害が起こることが知られていま
 す。

○ドーパミンとは
・ドーパミンは快の感情や意欲を司る神経伝達物質で、運動調節や学習などにもかかわっています。ドーパミン
 の分泌量が豊富で十分に 機能していれば、何ごとにも意欲的で明るい性格になります。また、恋愛感情を高
 めるのも、ドーパミンの作用の一つです。

○セロトニンとドーパミンの産生方法
・セロトニンとドーパミンは脳内の神経伝達物質ですが、何もないところからつくられるのではなく、材料が必要 
 です。その材料をつくっているのが腸であり、その手助けをしているのが、腸内細菌たちなのです。
・セロトニンのもとになるのは、必須アミノ酸と呼ばれる栄養素のうちのトリプトファンで、ドーパミンのもとになる
 のは、必須アミノ酸のフェニルアラニンです。
・必須アミノ酸というのは、人間の身体に必要不可欠な成分でありながら、体内で十分な量を合成できないた
 め、食物から栄養分として とくに重視して摂らなければならないアミノ酸のことです。

○必須アミノ酸とは
・必須アミノ酸は、肉や魚、卵、大豆、乳製品などタンパク質を豊富に含む食べ物からつくられます。ドーパミン
 やセロトニンを増やす には、これらの食べ物をバランスよく摂ることが必要です。うつ病になると「タンパク質
 を豊富に摂りましょう」と栄養指導されますが、それは幸せ物質を作るために必要な材料だからです。

○幸せホルモン産生への腸内細菌の関わり
・良質なたんぱく質を摂っただけでは、脳内の幸せ物質は増えません。トリプトファンがセロトニンに姿を変え、
 脳内で分泌されるには、いくつかの段階を踏む必要があるからです。食事として摂取されたタンパク質は、
 ビタミンCの力を借りてトリプトファンへと分 解されます。その後、葉酸とナイアシンの作用を受け、セロトニン
 の前駆体(ぜんくたい)となる5・HTPと言う物質になり、それがビ タミンB6の作用を借りてセロトニンが分泌さ
 れます。
・腸内で行われるこれらの分解の過程で重要な役割を果たしているビタミンC、葉酸、ナイアシン、ビタミンB6な
 どのビタミンは、腸内細菌が合成しています。人間はビタミンを自分で合成することが出来ず、腸内細菌が腸
 内で食物からビタミンを合成してくれているのです。
・ドーパミンも同様です。腸内に入って来たタンパク質が、フェニルアラニンからチロシン、L・ドーパへと分解さ
 れ、ドーパミンにな るまでには、ビタミンC、葉酸、ナイアシンビタミンB6などのビタミンが使われます。腸内細
 菌が合成してくれるこれらのビタミンが不足していれば、ドーパミンは十分な量が分泌されません。
・ここまでの過程を考えると、幸せの感受性は腸内細菌が鍵を握っていることが分かります。ところが、脳が人
 体の働きも感情も支配していると信じている人は、腸が幸せの感情をつくり出す成分を合成しているのだと
 説明しても、なかなか理解してもらえません。腸内細菌がいなければ、人は決して幸福感を得ることができな
 いのに、です。
・腸に、腸内細菌がいなければ、セロトニンやドーパミンの分泌が上手くいかず、精神状態に悪影響(例えば、キ
 レやすい性格とか)を 与えることが研究で実証されています。

○幸せ物質を増やし、幸せの感受性を高めるには
・第一には、腸内細菌を増やし、腸内フローラ(=腸内細菌の集合体のこと)を整えることです。それには、善玉
 菌を食事から摂りこむ と共に、腸内細菌の餌になる食物繊維やオリゴ糖などを豊富に含む植物性食品をたく
 さん食べることです。トリプトファンやフェニル アラニンの合成に必要なタンパク質の摂取は、その次に必要に
 なってくることです。
・そしてもう一つ、大事なことがあります。それは、毎日、立派なウンチを出せるよう心掛けてほしいと言うことで
 す。何故なら、大便 の大きさと状態がその人の生命力の強さを表していると言えるからです。
・ウンチが大きいと言うことは、腸内細菌の量も多く、幸せ物質の分泌量も多く、幸せの感受性が高いことを表し
 ます。逆に、ウンチが小さいと言うことは、腸内細菌の量が少なく、幸せ物質の分泌量が少なく、幸せの感受
 性が低い事を表します。

○私感
・幸せ度を高めるには、食物繊維の摂取量をもっともっと高め、良いウンチを出せるようになることだと言 
 う・・・・・。このことは世界的に見ても言えることが証明されている。

【参考文献】藤田紘一郎著『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』


本件は、「まぐまぐ」メルマガ第99号(2014.12.21)に掲載したものです。
参考に供したい。



『入浴は、腸の機能強化に役立ちガンを予防する!』



○はじめに
・入浴が、ガン予防に役に立つと言う。今回は、このことについて探求してみる。

○人間を動かす二つのエンジン
・地球上に生命体が誕生した時、私たちの祖先となる生物は、無酸素と低温の環境にて解糖エンジンを働かせ
 ている単細胞生物でした。 強力な放射線に地球がさらされていたため、生物は深海でしか生きられないと言
 う、過酷な環境下で生み出されたのが「解糖エンジン」です。
・そうした環境の中でも、血管を伸ばし、栄養を吸収する細胞がいたのですが、ガン細胞はその生命力旺盛な
 細胞と性質が似ています。 実際、ガン細胞は高糖質・低酸素・低体温と言う体内環境を好みます。その環境
 とは、古(いにしえ)の単細胞生物が生きていた環境に酷似しています。
・一方、「ミトコンドリアエンジン」は、地球上が酸素に覆(おお)われ、表面温度が高くなる中で築(きず)かれたエ
 ネルギー系です。そのため、酸素が豊富で体温が高い状態で良く働きます。ミトコンドリアエンジンが活性化す
 るのは、低糖質・高酸素・高体温の環境です。
・この様に、人間は「解糖エンジン」と「ミトコンドリアエンジン」との二種類のハイブリットエンジンを搭載して動い
 ているのです。

○中高年になったらミトコンドリアエンジン主導に
・ガン細胞の増殖を許さないためにも、中高年になったらミトコンドリアエンジンを活性化して、解糖エンジンの動
 きはゆるやかにとどめることが必要です。中高年の身体は、ミトコンドリアエンジンがメインに動いているため、
 解糖エンジンがフル稼働してしまうと、 活性酸素が発生しやすくなっています。これを防ぐには、高糖質の食
 生活を改めること。そして、高酸素・高体温の環境を努めてでもつくり出すことです。
・一日に1回、温かいお湯につかり、体温を上げることは、ミトコンドリアエンジンを活性化すると共に、ガン細胞
 の成長を許さないことにつながります。また、腸の働きを高め、免疫力を高める効果もあります。

○ガン予防のためのミトコンドリアエンジンの活性化
・腸は絶えず食物を消化し、病気から身体を守るために免疫細胞を育てています。常に持続的なエネルギーを
 使って、消化や免疫機能の活性化を保持しようと努めています。それには、持久力に優れたミトコンドリアエン
 ジンがスムーズに動き続けていることが必要です。
・小腸は、糖の吸収を積極的に行いますが、自分としてエネルギーとして使わず、アミノ酸の一種であるグルタミ
 ン酸を使います。むしろ腸は、糖がたくさん入ってくるのを嫌がります。ミトコンドリアエンジンにエネルギー産
 生を頼っているため、解糖エンジンにフル稼働されると困ってしまうのです。
・体温を1度上げると免疫機能が30%上昇するとも言われています。体温が上がれば、ミトコンドリアエンジン
 が活性化して腸の働きが活発になり、免疫機能が増強されるのです。また、ミトコンドリアエンジンを活性化す
 るには、高酸素も重要です。一日数回深呼吸して、身体に酸素を満たしてください。その習慣も、ガン予防に
 は非常に効果的です。

○私感
・低糖質、高酸素、高体温の状態にすること。すなわ、解糖エンジンを控え、ミトコンドリアエンジンを使うと共に、
 入浴して身体を温め高酸素・高体温にすることがガン予防になると言う・・・・・。

【参考文献】藤田紘一郎著『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』

下記は、「まぐまぐ」メルマガ第98号(2014.12.17)に掲載したものです。
参考に供したい。



『悪い油の摂取は、“脳を壊す”恐怖!』



○はじめに
・世間には、悪い油が多く出回っていて、健康被害が増えていると言う。それはどういうことなのだろうかと気に
 なった。特に、脳に影響があると言うのだ。

○必須脂肪酸とは
・一言で油と言っても、様々な種類があるのですが、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は必須脂肪酸と呼ばれて
 います。人の身体では合成できないので、食べ物から摂る必要がある。
・そのうえ人体にとって重要なのは、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスです。
・現代人の食生活は、オメガ3脂肪酸の摂取量が減少し、オメガ6脂肪酸がどんどん増えているアンバランスな
 状態になっています。

○摂取して欲しいオメガ3脂肪酸の現状
・現代の日本人が積極的に摂って欲しいのは、オメガ3脂肪酸が含まれる油です。オメガ3脂肪酸は、亜麻(あ
 ま)仁(に)油、しそ油、えごま油のほか、イワシやさんまなどの魚の油に含まれています。
・これに対して、オメガ6脂肪酸は、ベニバナ油、コーン油、ごま油、大豆油、グレープシードオイルなどがありま
 す。日常的に良く使われる植物油の大半は、オメガ6脂肪酸です。

○のぞましい脂肪酸の摂取バランス
・オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の理想的な摂取量は、1対1から1対4とされています。ところが、現代人の食
 事は1対10から1対30になりやすいと言われます。
・では、オメガ3脂肪酸の摂取量が減り、オメガ6脂肪酸の摂取量が多くなると、このアンバランスは、どの様な
 影響を身体にもたらすのでしょうか。最大の問題は、うつ病になる可能性が高くなることです。
・フランス国立衛生医学研究所のO.マンゾーニ博士らは、脳神経が急速に発達する幼児期に、脂肪酸の栄養
 バランスが慢性的に悪い状 態にあると、成人した後、抑うつや不安など情動に悪影響をもたらすのではない
 か、と仮説をたてました。そして、マウスにより実験 を行いました。その結果、オメガ3脂肪酸が胎児期から慢
 性的に足りていないマウスは、抑うつ行動が現れました。また、脳神経の働 きも、柔軟性を欠くものでした。
 オメガ3脂肪酸の不足が、脳神経の働きと情動行動に有害な結果をもたらすことが明らかにされたのです。

○なぜ、油が脳の働きに影響を与えるのか
・それは、脳の60%は脂質で出来ているからです。そのため、脳は油を絶えず欲しがります。脳にとって油は油
 で、健康の善し悪しなどに関係ありません。油の供給量が減れば、「油をもっと摂れ」と指令を出します。
・今度、スーパーマーケットへ行ったら、油を含む製品を改めて眺めて下さい。オメガ3脂肪酸を含む食品はごく
 少量で、オメガ6脂肪酸を含む食品ばかりです。オメガ3脂肪酸を含む亜麻仁油やしそ油、えごま油は高価で
 すが、オメガ6脂肪酸を含む植物油は安価です。オメガ6脂肪酸を豊富に含む植物油は、安価であるため広く
 流通しやすく、入手しやすくなっています。そので、脳に命じられる まま、私たちは身近なオメガ6脂肪酸を含
 む食品をやたらと食べてしまう悪循環に陥るのでしょう。
・20世紀に入り“うつ病”が急増している一因は、オメガ6脂肪酸を多く含む植物油の摂取量増加にあると考え
 られているのです。

○脂肪酸摂取の注意点
・オメガ3脂肪酸を意識的に摂ることが大事であることは変わりありませんが、注意点があります。オメガ3脂肪
 酸は、非常に酸化しやすいと言う側面があります。酸化された油が体内に吸収されると、細胞膜にダメージを
 与え、周りの組織の老化を進行させる可能性が あります。これを防ぐには、1)少量ずつ買い求め、開封後は
 早めに使い切ること。2)冷暗所に保存すること。3)加熱調理を避け、食べる直前に料理にかけること。この3
 点を守って下さい。
・次に、食べるのを極力控えたい油があります。それは、トランス脂肪酸です。トランス脂肪酸は、油に水素添加
 して人工的につくりだ した脂肪酸です。脂肪を研究している科学者たちの間では、油に水素添加することを
 「オイルをプラスチック化する」と言われます。 トランス脂肪酸は、プラスチック同様、自然界には存在せず、
 その為自然界では分解されない物質なのです。私たちの周りは、いつの まにかトランス脂肪酸を多く含む食
 品に溢れてしまいました。なぜなら、トランス脂肪酸の油は、人工的に安く大量生産できるからです。

○トランス脂肪酸の弊害
・自然界に存在しない人工産物であるトランス脂肪酸は、体内に入ってきても、必須脂肪酸としての役割を果た
 せず、細胞膜の構造や働 きに不具合を生じさせます。結果、体内で活性酸素が生じるようになります。
・このトランス脂肪酸の影響を最も強く受けるのは、脳だと考えられています。脳の約60%が脂質で出来ている
 からです。トランス脂 肪酸が脳にダメージを与える理由については、次のように考えられます。
・脳を構成する脂質には、オメガ3脂肪酸が欠かせません。しかし、オメガ3脂肪酸が不足している場合には、ト
 ランス脂肪酸が脳の構 成材料として代用されます。しかし、実際にはトランス脂肪酸は必須脂肪酸の役割を
 果たせませんから、脳の細胞膜が不安定になり、 脳の伝達機能が衰えてしまうのです。
・イギリス・オックスフォード大学のピュリ医師らは、トランス脂肪酸は脳の活動に必要な酵素を破壊し、注意欠
 陥障害や注意欠陥多動 性障害などを引き起こす要因になると報告しています。
・米国神経学会の学術誌に2004年に発表された論文には、シカゴ郊外の65歳以上の住民2560人を長期間
 追跡調査した結果、トランス脂肪酸を多く摂っている高齢者は認知症になる確率が高かったと報告されてい
 ます。

○日本のトランス脂肪酸に対する規制の甘さ
・トランス脂肪酸の害を示した報告を深刻にとらえた世界保健機構は、トランス脂肪酸の摂取量を、総エネル
 ギーの1%未満とする目標 基準を設けました。これに同調するように、欧米を中心に世界では厳しい規制の
 動きが広がっています。
・アメリカや韓国などでは、トランス脂肪酸の表示が義務付けられました。デンマークでは、2003年から最終製
 品に含まれる油脂100g中のトランス脂肪酸を2g以下とする規制を設け、また、2011年10月から、「脂
 肪税」と言う制度で健康に悪影響を及ぼす食品に課税が行われています。2012年1月には新たに通称
 「チョコレート税」も設けられています。
・ところが日本では、トランス脂肪酸の義務表示すらまだ未だに設けられていない現状にあります。その理由
 は、世界保健機構の目標基準未満内に日本はあると言うものです。
・しかし、ポテトチップやアイスクリーム、菓子パンの大好きな人はたくさんいます。こうしたものを日常的に食べ
 ている子供も、決し て少なくないでしょう。それらの人々の摂取量は、基準値を超過する可能性が充分にあり
 ます。
・油は身体に必要なものですが、悪い油を摂ると脳を壊します。国が規制を設けない日本では、自主規制するし
 か健康を守る方法は、現状ないのです。

○私感
・脳に、油が、こんなに密接に関っていたとは全くと言って良いほど知らなかった。目にウロコだ・・・・。特に、オメガ3脂肪酸が不足している。

【参考文献】藤田紘一郎『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』

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