2015年06月

本件は、「まぐまぐ」第153号(2015.6.28)に掲載したものです。
参考に供したい。



『酵素の不思議、酵素を摂る良い食事とは!』(2の1)


○はじめに
・体内酵素は、消化に要する酵素は少なく、代謝に回る量を多くが鉄則。その上で、体外酵素(食物酵素)を如
 何に受け入れるかだ。その方策を探求してみよう。

○病気の時は、食べない方が良い
・人間の生命活動の中で、一番エネルギーを使うのが消化と言う作業です。人間は、食べ過ぎた時に、記憶が
 悪くなったり、足元と首のうしろから冷たくなるのは、血流が胃と腸に充満し、他に行きにくくなるからです。野
 菜、果物など消化に負担をかけない食事こそ健康への道なのです。
・病気になった人は、特にそうです。体は、こう訴えかけている筈です。「今は病気と闘っていて、代謝酵素が大
 忙しです。どうか、消化酵素を無駄遣いしないでください」。ところが、「病気の時は体力が落ちているから、栄
 養を摂らなければいけない。元気をつける ために、無理してでも食べた方が良い」とよく言われます。これ
 は、逆効果です。
・動物を見れば、それがよくわかります。動物は自らの体調が悪い時には、何も食べずにじっとしています。エサ
 を口にせず、断食をすることで消化酵素を温存し、代謝酵素の働きを活発にする術(すべ)を本能的に知ってい
 るのです。私たち人間も、野生動物の習性を見習った方が好いのです。病気の時には、消化器官に負担のか
 からない食事にしましょう。

○少食と長寿の関係
・消化不良が引き起こすリスクとは何でしょう。それは代謝酵素に本来の働きをさせないことから起こるトラブル
 です。これを回避させるためには、代謝酵素をしっかり働いてもらうシステムにすれば良いのです。それは何
 かと言えば、最適なのは少食です。
・少食と長寿の関係はここ数年、多くの書籍などで紹介され、大きな話題になっていますが、この理論は、既に8
 0年ほど前から存在していました。
・1935年、アメリカ・コーネル大学の栄養学者クライブ・マッケイ博士は、実験用マウスにカロリ―を65%に減
 らしたエサを与えたところ、平均寿命が2倍近くも延びたと発表しました。1980年代後半になると、「カロリー 
 制限によって寿命が長くなる」ことが、生物学、免疫学、医学、栄養学などの幅広い分野の研究によって確か
 められるようになりました。
・なかでも、アメリカ・ウィスコンシン大学で1980年代から始まり、ほぼ20年にわたるアカゲザルを使った実験
 が有名です。アカゲザルを二つのグループに分けて観察、普通のエサを与えたグループとカローリだけを3
 0%制限したグループでの二つを比較した。そうしたところ、前者は白髪が生え、顔に深いシワが刻まれ、著し
 く老化した。これに対して、後者はスリムな体型で動きも良く、顔にシワも見られず、背中は曲がらなかった。
・日本でも、ペンギンを使った例があるが、結果は同様に長寿を全うしたと報告されています。やはり食事習慣
 がと言っています。特に、6日間食べさせて1日断食を繰り返すのが効果大とのことです。この消化器官を休
 ませ、酵素の浪費を防ぐと言う食習慣が長寿に繋がっている由。

○1日2食で健康になる
・日本には、「腹八分に医者いらず」「腹も身の内」などのことわざもあり、昔の人は、大食の恐ろしさを十分認識
 していました。
・「腹八分」は「養生訓」で貝原益軒が言った言葉ですが、彼が生きた江戸時代初期の食事は、一汁一菜か二菜
 の質素なものでしたから、現在とは量、質ともに大きく異なります。現在の食事に当てはめれば、腹七分でも 
 多すぎで腹六分くらいが妥当と考えられています。
・人間は、もともと1日2食でした。日本、アジア、ヨーロッパでも1日2食の時代が長かったのです。日本で1日3
 食が一般化したのは、都市部では江戸時代中期になってから、農村部では明治以降です。
・私は、1日に1250~1650キロカロリーに抑えるのが望ましいと言えます。要は、腹6分、7分を意識すれば
 いいのです。しか し、カロリーは控えても、栄養はキチンと摂らなければなりません。
・その為には、以下の三項目が重要になります。1)植物性の食事であること。2)生の種は除き、一物全体食で
 あること。3)生食を摂り、食物酵素の蓄積に心掛けること。
・食べる順番も大事です。生の食材が持つ食物酵素が、後から入ってくる動物性食品の消化に効果的に働きま
 す。酵素を絶えず体に取り入れ、働かせると言う意識で食事をすることが大切です。

○酵素を摂る方法
1)ジュース
・酵素を摂るために、生食を実践するにはジュースが一番です。ジユースは絞りたてが肝心で、酸化を避けるた
 め摩擦熱の少ない低速ジューサーで作ることを推奨します。
・飲み方ですが、1)胃が空の時に飲むこと、2)噛むように飲むこと、3)食物繊維も一緒に摂ること、4)果物だ
 けでなく野菜も混ぜること。

2)すりおろす
・しかし、すりおろすことで食物の細胞膜が破れ、なかに閉じ込められていた酵素が大量に出て、酵素の量は2
 ~3倍、食材によっては それ以上になります。しかも、すりおろせば、消化もスムーズになり、消化酵素を無
 駄遣いすることもありません。一石二鳥です。
・酵素は、皮に多く含まれています。良く洗い、皮ごとすりおろすのが効果的です。そのためにも、無農薬か低農
 薬で栽培された新鮮な野菜や果物にしましょう。すりおろしに向いている食材は、果物ならリンゴ、野菜なら大
 根です。民間療法にも、子供がお腹を壊したり風邪をひいたら、リンゴのすりおろしを、お腹の調子が悪くなっ
 たら、大根おろしを食べさせる、と言うのがあります。これは、とても理に適っているのです。
・他には、山芋、ニンジン、ショウガ、セロリ、カブ、ニンニク、レンコン、タマネギなどがお勧めです。
・脂肪分解酵素のホリホスパーゼがキュウリに大量に含まれていることが最近わかりました。脂っこいものを食
 べた時には、キュウリのすりおろしや、キュウリを醤油や黒酢などで味付けして食べるのもいいと思います。
・おろし金は、酵素が活性化しやすい金属性がお勧めです。なお、「生きているものは酸化する」の法則に則り、
 時間を置かずに食べることが一番です。

(~次号に続く)

本件は、「まぐまぐ」第152号(2015.。24)に掲載したものです。
参考に供したい。



『酵素の不思議、体を蝕む食事とは!』(3の3)

(~前号より続く)

○粉末状の食品は、食べてはいけない
・時間が経ち、酸化した油は、どんな「良い油」でも禁物です。酸化した油脂を摂ると、血中に老化の原因となる
 過酸化脂質が発生し、動脈硬化をはじめとする病気の原因になります。腸の汚れを進め、酵素も大量に消費
 させてしまいます。
・血液をサラサラにするα-リノレン酸などのオメガ3系脂肪酸やリノール酸などのオメガ6系脂肪酸は、時間が 
 経つとすぐに酸化するので、注意が必要です。やはり、一度使用した油は、再使用せずに捨てた方が良いの
 です。
・油だけでなく、酸化を注意しなくてはいけない食品は、身近にたくさんあります。特に、注意が必要なのは、粉
 末化した食品です。玄米やアーモンドなど油っぽい食物を挽(ひ)いて粉状やペースト状にして食べることは
 酸化の塊を体内に取り入れているのと同じことです。
・煮干しも動物性の油っぽい食品です。カルシュウムたっぷりだからと煮干しを粉末にして食べてはいけませ
 ん。食品の多くは、空気に触れると酸化するもの、と考える必要があります。コーヒー豆も同様で、密封するな
 ど保存方法が重要です。

○野菜・果物の種は、食べてはいけない
・不老不死のものありえないと思うかもしれませんが、一つだけあります。それは「種」です。種は、ある条件さえ
 整えば、無限とも言える命となります。
・その条件とは、暗く極端な湿気がないこと。簡単に言えば、引き出しに入れておけば、種は無限に生きていま
 す。
・種には、いつか必ず芽を出すと言う大切な目的があります。食物にとって、子孫を残す大変重要なものです。
 一年中、芽を出していれば、その種は滅んでしまいます。そのため、ある一定の条件でしか、芽を出させない
 物質を内在しているのです。その物質が、目的を達成させるまで種を保護する強烈な護衛になっています。そ
 れが玄米、小豆、大豆にあるアブシジン酸やトリプシンインヒビターなどの「酵素阻害物質」です。
・ある季節が来て、ある温度と湿度になった時、初めてその酵素阻害物質の機能が失われ、芽が出現します。
 芽が出て、開花してはじめて、その種の命はなくなります。その条件下に当てはまらない間、種は、永遠に命
 を保持しようとします。
・生の種を食べると、この酵素阻害物質が働き、体内酵素の消費が膨大な量になります。例えるなら、10円玉
 を飲みこんでいるようなものです。10円玉を飲みこむと、排泄されるまで、これを消化しようと大量の酵素が使
 われます。
・ある20代の膵臓がん女性の患者さんの話です。彼女は、ブドウの産地の出身で、幼い頃からブドウをたくさん
 食べていましたが、種もそのまま飲みこんでいました。その為、長期間に消化酵素を分泌する膵臓が疲弊し、
 ガンになってしまった様なのです。それぐらい、生の種の持つ酵素阻害力は怖いものなのです。
・スイカの種、ブドウの種、柿の種、ミカンの種も、けっして生のまま食べてはいけません。但し、例外もあり、イ 
 チゴ、キュウリ、キウィフルーツ、トマト、ナス、オクラ等の種は小さいので、大丈夫です。

○玄米は、食べてはいけないの
・日本人が日常的に玄米を食べていたと言う事実はなかったのではないかと言う節がある。その理由としては、
 次のようなことです。
・90%以上を占めていた農民などの被支配者階級は、日常糧(かて)飯(めし)を食べていたはずです。糧飯と 
 は、少しの白米(ない場合もあります)にヒエ、アワ、キビに大根など野菜の葉を混ぜて水増ししたご飯です。厳
 しい年貢の徴収に苦しんでいた彼らが、たとえ玄米であろうと米本体だけを食べる余裕と言うのはなかったと
 思います。
・少数の支配者級も、玄米は食べていませんでした。彼らは、玄米を搗(つ)いて食べていたはずです。平安時代
 の美人はしもぶくれの岡目ですが、これはビタミンB1不足による脚気(かっけ)の症状の表れではないかと思
 われます。
・現在の日本に、玄米が浸透してきたのは圧力鍋の普及によるものだと思いますが、玄米人気の理由は、白米
 に比べて栄養価が高いことでしょう。しかし、それはあくまでも比較の問題で、白米はあまりにひどすぎるから
 であり、玄米も栄養が偏っています。ビタミンA、C、B12はなく、カルシウム、鉄は少ない。ビタミンDとKも多く
 ありません。食物繊維は3%で、食物よりありますが、海藻に比べると大きく落ちます。そしてここが大事です
 が、玄米もまた種なのです。
・玄米を食べる場合、圧力鍋で炊かないなど充分な注意が必要です。

○玄米の毒を摂るには
・玄米は、栄養が偏っているが、それでもその欠点を補うほどの長所を持っています。その理由は、エネルギー
 が大変高いことです。玄米は「夏の草」で、小麦やヒエやアワなど、「冬の草」である雑穀に比べ、エネルギー
 が充満し、栄養価も抜群に高いのです。ただし、玄米には問題もあります。炊き方が難しく、料理次第で天国
 にも地獄にもなる食物だと思います。玄米の”毒“である酵素阻害物質を摂らない方法が必要なのです。

○薬は、酵素の働きを阻害する
・薬剤などの酵素阻害剤は、酵素が働く基質と似ているため、酵素とくっつき、酵素の働きを失活させてしまいま
 す。その為、体内酵素が大幅に減り、体を衰弱させてしまうのです。おまけに、この酵素阻害剤は、栄養素とミ
 ネラルの消化・吸収も妨害します。
・薬を長期間飲み続けると、病気で増大している腸の悪玉菌やウイルスがさらに繁殖し、病気が長引くだけでな
 く、他の病気まで引き起こしてしまいます。人間の体は、自然界に存在しないものを受け付けないように出来
 ているのです。
・では、どうしたらいいのでしょう。体内の病原菌を退治するのがベストの方法です。免疫細胞がウイルスと闘え
 るように熱を出してくれているわけですから、その熱を薬で下げてしまったら、自力での闘いが出来なくなって
 しまいます。苦しい鼻水や咳もウイルスの排除に働いています。緊急の場合は仕方ないとしても、薬はあくま
 でも症状を緩和するだけで、病気そのものを治してくれるわけではないことを、知っておくべきです。
・腸内細菌の酵素は、善玉菌だけでなく、悪玉菌も持っており、悪玉菌の酵素は、病気を生み出したり、悪化さ 
 せたりします。酵素阻害剤である西洋薬は、この悪玉菌の酵素を阻害するのかも知れません。もちろん、まだ
 仮説の段階です。
・ただし、それが効いたとしても、薬は善玉菌の酵素もカットしますから、体にはダメージです。長期の飲用はや
 はり危険です。
・私たちの周囲には酵素阻害剤があふれています。食品や添加物に混入されている重金属の鉛や水銀も酵素
 阻害剤です。

○私感
・良い油と悪い油があること。基本的に、“種”は食べてはいけないこと。“キュウリ”の効能が判明したこと、など
 など考えさせられることが多かった。
・酵素の研究は、今後ますます進展が待たれる状況である。

【参考文献】鶴見隆史著『「酵素」の謎』

本件は、「まぐまぐ」第151号(2015.6.21)に掲載したものです。
参考に供したい。



『酵素の不思議、体を蝕む食事とは!』(3の2)


(~前号より続く)

○砂糖摂取の害とは
・スイーツやアイスクリーム、菓子パンなどの甘い物が大好き、と言う人は女性のみならず、男性にも多いと思
 います。
・しかし、これも体内酵素を欠乏させる原因です。材料である砂糖(ショ糖)は、その製造工程において、不純物
 を取り除く作業や漂白 作業に化学薬品が使われています。おまけに、砂糖特有のサラサラ感をだすために、
 天然の栄養成分が取り除かれているのです。このことが、消化活動に大きな負担を与えます。
・成分そのものにも問題があります。ショ糖は、ブドウ糖と果糖がくっついた二(に)糖類(とうるい)です。ブドウ糖
 も果糖もそのままの単糖類なら、人間にとって大事な栄養素ですが、この単糖同士がくっついたショ糖になる
 と、大きな問題が生じます。
・この二つの単糖は、分子がいったん結びつくと固い結合になります。切り離すのには相当な時間がかかり、酵
 素や塩素(胃酸)でもなかなか離れません。胃に入ってから6時間もくっついたままだったと言う報告もあるほ
 どです。そのため、消化に使われる分解酵素の量は膨大なものとなります。ショ糖は、強烈な酵素阻害剤なの
 です。
・ショ糖には、酵素を欠乏させる以外にも大きな問題があります。それは腸内環境を悪化させることです。消化さ
 れずに腸に残ったショ糖は、悪玉菌や真菌(カビ)の栄養となり、これらを繁殖させてしまいます。
・そのため、善玉菌が減少し、腸内腐敗が進みます。有害物質の窒素残留物も作られ、血液を汚し、あらゆる病
 気を作り出していきます。さらに、ショ糖の摂りすぎは活性酸素を発生させ、シミ、シワもつくります。

○トランス脂肪酸に注意
・私たちの体に悪い、健康を害する油があります。どんな油でしょうか。その第一は、ここ数年、世界的にも話題
 になっているトランス脂肪酸です。この脂肪酸は、天然の植物油には殆ど含まれておらず、液状の不飽和脂
 肪酸に水素を添加して固める過程で出来ます。
・トランス型の脂肪酸は、マーガリンやショートニング、マーガリンの一種のファットスプレッドに使われています 
 が、アメリカ・ニューヨーク州では、このトランス脂肪酸を使った食品は使用を禁止されています。しかし、日本
 では、現時点で“野放し”状態です。
・トランス脂肪酸は、体内で全く代謝できません。それでも、体内に取り込まれると細胞膜を形成します。すると
 細胞内液への浸透性や細胞内の生化学構造が狂ってしまい、糖尿病、ホルモン異常、肝臓障害など多くの病
 気のリスクを高めます。また、全てのガンの原因にもなります。そのた、トランス脂肪酸が使われている食品に
 は、ハンバーガー、フライドチキンナドのファストフード、ビスケット類やスナック菓子、食パンなどと広範囲にわ
 たっています。なお、アメリカの医学研究所のレポートによると、「トランス脂肪 酸には、安全摂取量はない」と
 のことです。ここまで摂っても大丈夫と言うラインがないと言う厳しいものです。
・身体に悪い油の第二は、リノール酸の過剰摂取です。これは不飽和脂肪酸のオメガ6系脂肪酸の一つで、良
 い油のα-リノレン酸と共に、人間の体では作れない必須脂肪酸です。これらが脳卒中、心臓病、ガンの原因
 になり、老化も促進し、アレルギーなどの免疫関係に大きな影響を与えることが分かってきたのです。必須脂
 肪酸ですから、適量ならば体には良い油です。しかし、リノール酸は、私たちが口にしている殆どの食品に含
 まれており、知らず知らずのうちに、過剰摂取になっているのです。他にも、リノール酸がたっぷりと含まれて
 いる食品は、巷(ちまた)にあふれています。ポテトチップスなどスナック菓子、マーガリン、マヨネーズ、ドレッ
 シング、インスタントラーメン、ケーキ、パン、アイスクリーム等々限がありません。

○健康に良い油とは
・油(脂質)は、消化に時間がかかり、高カロリーです。その為、「太りやすい」「体に悪い」と言うイメージがつきま
 とっていますが、けっして“悪者”ではありません。
・脂質は、細胞膜の70%、脳の60%を構成しており、脂肪がなければ、全身の細胞は存在できず、脳も機能で
 きません。体温も維持できず、体の様々な機能を調節するプロスタグランディンと言うホルモン様物質も作れ
 ません。また、体内で脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の搬送や吸収も出来ません。だからこそ、とても大事な栄養素
 であり、三大栄養素の一つに数えられているのです。しか し、その油の質によって健康が大きく左右されるこ
 ともまた事実です。
・北極圏に住むイヌイットは、殆ど生の肉しか食べないにもかかわらず健康であると報告されています。彼らは、
 特に心臓や血管系の疾 患が少ないのです。その理由は、彼らが食べているアザラシなどの海獣やザバ、イ
 ワシなどの青魚の脂に秘密があります。これらには、血液をサラサラにするEPA(エイコサペンタエン酸)と
 DHA(ドコサヘキサエン酸)と言う脂肪酸が多く含まれているのです。EPAもDHAも、不飽和脂肪酸のオメガ3
 系脂肪酸の一種です。
・植物油で体に良い油は、EPAなどと同じオメガ3系脂肪酸に属するα-リノレン酸で、亜麻仁脂(フラックス
 油)、エゴマ油、シソ油などに多く含まれています。これらの油は熱に弱いので加熱せず、ドレッシングなどの
 生の状態で使うことがポイントデス。加熱調理 には、酸化しにくいゴマ油、ナタネ油がお勧めです。パスタな
 どに使われるオリーブ油も酸化しにくい油です。そして、どの油も健康の為には、一度使用したら捨てること
 です。食物では、アーモンド、クルミ、ピスタチオなどのナッツ類も少量なら、体に良い油の補 給源となりま
 す。
・ここで朗報があります。それは、2011年“世界一栄養がない野菜”と言われているキュウリにホスホリパーゼ
 と言う脂肪分解酵素が含まれていることが分かりました。
・この脂肪分解酵素は、従来型より分解力の強い新型で、血液がサラサラになり、体も温まると言う優れもので
 す。この脂肪分解酵素はすりおろすと増えるので、脂っこいものが好きな人は、キュウリを摂ることを、特にす
 りおろして食べることをお勧めします。

(~次号に続く)

本件は、「まぐまぐ」第150号(2015.6.17)に掲載したものです。
参考に供したい。



『酵素の不思議、体を蝕(むしば)む食事とは!』(3の1)


○はじめに
・私たちが自ら産生する体内酵素は、「一生かかっても一定量しか作ることができない」と言われている。そうだ
 とすれば、体内酵素を過剰に消費するような食事は厳に慎むべきである。そして、体外酵素を有効活用すれ
 ば、体内酵素をその分温存できることになる。このことを踏まえて酵素について探求する。

○肥満者が短命になる理由
・軽い症状でも、難病など重いものでも、全ての病気は代謝酵素の不足から生じると言う。病気は代謝が上手く
 いかないことから起こる。それは代謝酵素の不足であり、その原因を作るのが消化不良です。
・消化酵素が足りなくなるほどの消化不良を起こすと、代謝酵素は、新陳代謝を司る自分たちの仕事をいったん
 休止し、消化酵素の補充に回ります。そのため、代謝活動がおろそかになり、免疫力が落ち、病気が現出す
 るのです。ですから、病気の根本原因は、消化不良による消化酵素の過剰消費と言えます。
・それでも、代謝酵素が緊急出動して、消化活動が円滑に行われるなら、努力も報われますが、そうとも言えな
 いのです。消化酵素と代謝酵素がタッグを組んでも、消化不良は完全に解消されません。
・なぜなら、人間の生命活動の中で、もっともエネルギーを使う消化と言う活動は、一旦消化不良を起こすと、消
 化酵素と代謝酵素が力を合わせても追いつけないほどハードなのです。その結果、腸内腐敗が起き、窒素残
 留物が出現、血液をドロドロにして、ありとあらゆる病気を作り出していくのです。
・消化不良を起こす一番の原因は、過食と言う悪癖です。肉、魚、卵、牛乳などの動物性タンパク質の過食は特 
 にリスキーです。過食を繰り返す肥満者が短命なのは、体内酵素の枯渇が早いからです。

○人間を老化させる三つの原因
・老化の原因として挙げられているのが「酸化ストレス説」「テロメア説」「老化遺伝子説」があります。
・酸化ストレス説は、簡単に言えば、活性酸素によって細胞がダメージを受け、その結果、老化すると言うもので
 す。これは、まず間違いありません。
・テロメア説は、細胞分裂は永遠に続くものではなく、約50回が限界と言う説です。テロメアとは、DNAの末端
 にある特殊な構造をした部分で、細長く染色体を保護するため、両端をキャップのように固定して遺伝子を安
 定させるものです。しかし、このテロメアは細胞分裂をするたびに短くなり、ある長さになると、分裂が出来な
 くなります。その時がその細胞の寿命です。そのため、テロメアは細胞の寿命を決める”老化時計“と考えら 
 れています。
・細胞の老化が、体全体の老化にどの様に関っているかは、まだ研究段階です。しかし、細胞が分裂してから、
 さらに新しい細胞に分裂するまでの周期は2年強と言われており、仮に細胞分裂を50回繰り返すと約120年
 かかります。テロメア説では、これが人間の限界寿命とされています。
・老化遺伝子説は、老化が遺伝子によってプログラム化されていると言う説です。長寿にかかわる遺伝子は、大
 きく分けて2種類あり、一つは老化を促進する遺伝子で、もう一つは寿命を延ばす遺伝子です。前者がdaf2 
 (ダフツー)遺伝子、後者はsir2(サーツー)遺伝子です。
・酸化も、テロメアも、遺伝子も、すべて酵素が関係していますが、最も大きな原因は酵素寿命説です。一生に
 一定量しかない酵素が徐々に失われていくのが老化で、尽きる時が死を迎える時です。そのため、酵素の浪
 費は絶対に避けなければならないのです。

○植物性だけでなく、動物性食品も必要な理由
・加熱食だけで、生食がない食生活が健康を損なうのは、食物酵素の力が生かされないからです。48度以上
 に加熱すると、食物中にある酵素は失活します。体外から酵素を補充できず、また食物じたいの予備消化もで
 きないのですから、体内の消化酵素をフル回転で働かせなければなりません。そのために、代謝酵素にまで
 影響が出てしまうのです。生の野菜、果物の摂取は欠かせません。
・1日のエネルギー摂取量は、野菜、果物が80%、残り20%は、肉、魚などほかの食材から摂って欲しいと言 
 われています。特に、20%の中には、動物性食品(レバー、アサリ、牡蠣、サンマなどの青魚)も少量でも摂取
 するのが望ましい。

○朝食は、軽い方が良い
・「ナチュラル・ハイジーン」という「自然の法則に基づいた生命科学の理論」があります。このアメリカで生まれた
 理論では、1日24時間を大きく三つに分けた生理リズムが存在するとしています。酵素栄養学でも、この論を
 取り入れています。以下がその三つの生理リズムです。
 1)「排泄の時間」・・・・・・・午前4時から正午まで。
 2)「栄養補給と消化の時間」・・正午から午後8時まで。
 3)「吸収と代謝の時間」・・・・午後8時から午前4時まで。
・ここでは、朝のリズムについて述べます。人間は就眠中も汗をかいています。朝起きて、下着が汗で濡れてい 
 ることに気づくことがありますが、これは睡眠中にも排泄行為がなされているからです。そして、目覚めてすぐ
 に行われるのが排尿、しばらくして排便となります。つまり、人間は朝のうちに汗、尿、便と言う三大排泄を行
 なっているのです。人間は、この三大排泄により、体に蓄積された毒素や老廃物を排出し、体を浄化していま
 す。この様に、朝は毒素排泄の時間で、全ての臓器は半睡の状態です。
・酵素の活動もまだ不活発です。この時間帯は、排泄に必要な代謝酵素が働いていますが、消化酵素はまだ休
 息しています。その時間に固形物の多い、時間がかかる食事を摂ると体のリズムが壊れてしまいます。休ん
 で胃に、いきなりフル活動をさせることになりますし、加熱した食物は消化酵素を大量に消費します。朝食は、
 生野菜や果物だけで十分です。朝食は、夜の軽い断食を破ると言う意味です。断食直後の食事が重いもので
 いいわけはありません。

○なぜ、食べてすぐ寝ると体に悪いのか
・昼の「栄養補給と消化」の時間が過ぎ、午後8時から午前4時までは、吸収と代謝の時間です。この時間は、 
 吸収した栄養素を代謝する時間で、食物を摂取する時間ではありません。この時間帯に食事を摂ると、酵素
 の消費が激しくなり、代謝活動に回らず、病気になりやすくなります。ですから、夜遅く食事をすることは健康
 に反しています。
・また、食べてすぐ寝るのも問題です。昔から「食べてすぐ寝ると牛になる」ということわざがあります。本来の意
 味は、行儀が悪い事を示す戒めですが、これは医学的に正しいのです。
・人間は夜眠りに就(つ)くと、消化酵素もじっくりと休息に入ります。ところが、食べてすぐ寝ると、休息しても良い
 筈の消化酵素が活動を続けなくてはなりません。その時の消化酵素の活動は非常に弱く、食物をキチンと消
 化できず、栄養素も分解できません。酵素も無駄に消費されてしまいますし、消化器官も酷使します。
・その為、諸悪の根源の消化不良を起こすのです。胃腸に炎症を起こす原因にもなりますし、リーキ・ガット症候
 群(炎症を起こした場 所が、テニス・ラケットのガットが緩(ゆる)んで広がった様になる状態)も引き起こしてし 
 まいます。

(~次号に続く)

本件は、「まぐまぐ」第149号(2015.6.14)に掲載したものです。
参考に供したい。



『酵素の不思議、“食物酵素”の働き!』(4の4)


(~前号より続く)

○人間を健康にする食品の条件
・私たちが健康になる食物の条件を考えて見よう。先ずは、血液がサラサラと流れる、血流が良くなる食物で 
 す。全身に栄養素も酵素も潤沢に送り届けられるからです。
・次に、腸内腐敗の少ない食物です。腸内腐敗は、病気の原因であり、微小循環も悪化させます。便通を良くす
 る食物も腸内環境を整えます。
・また、抗酸化力や抗炎症作用の強い食物も大事です。健康の大敵、活性酸素を除去します。この除去も、人
 間が健康に生きていくのに必要な要素です。
・さらに、しっかりしたエネルギーを出す食物であること。こうした条件にぴったりなのが、生野菜、果物、海藻、
 芋、豆、穀類、そして発酵食品です。なかでも、発酵食品の黒酢と梅干はお勧めです。生の野菜と果物には、
 体を良くする栄養素が満載されています。食物繊維も、ビタミンも、ミネラルも、ファイトケミカルも、酵素もあり
 ます。
・人間の体を構成する元素は酸素、炭素、水素、窒素、リンなどですが、驚きなのはその65%が酸素なので
 す。人間は、酸素がなけれ ば生きていけないのです。また、人間の細胞を構成する分子は85%が水です。

○病気治療に使われてきた「酵素食」
・私たちは、加齢と共に潜在酵素は減少し、食物の消化・吸収や解毒能力が弱まります。これによって免疫力も
 低下する為、さまざまな 細菌を駆除する力が弱まり、病気にかかりやすくなるのです。
・これら、減少していく潜在酵素を補うのが果物と野菜に含まれる天然の酵素です。この天然の酵素を摂ると言
 うことは、同時に抗酸化物質も摂取していることになります。
・例えば、カロテノイド(βカロテンなど)やポリフェノール(アントシアニンなど)などのファイトケミカルがそれです。
 これらのファイトケミカルには、マイナスイオン(電子)が存在し、活性酸素を水にしてくれます。この抗酸化力
 はキャベツ、大根、ブロッコ リーなどのアブラナ科の野菜に多く含まれています。他にもアスコルビン酸(ビタ
 ミンC)やα―トコフェロール(ビタミンE)も含まれます。
・これら酵素や抗酸化物質を含んだ、生の食物は、世界中で病気の治療に利用されています。最も普及してい
 るのは、ドイツで、酵素療法の進んでいるアメリカや他のヨーロッパ諸国と比べても最先進国です。
・多くの治療家がドイツから輩出されていますが、結核治療でヨーロッパ中に名を馳せたマックス・ゲルソン博士
 は、アメリカにわたり、生食でがん治療に取り組み、多くの実績をあげました。彼の提唱する「ゲルソン療法」
 は、今でも世界各国で、食事療法によるがん治療のバイブルとして使われています。

○生食と加熱食は、6対4の比率で
・日本人の食生活が、どちらかと言うと加熱食が多い傾向がありますが、「酵素を含む生食が60%、加熱調理
 した料理が40%」が理想ではないかと考えられています。
・人間の食生活は、古代は果食動物であると見られていましたが、何十万年もの間に代謝も変わり、人間は雑 
 食性を強めています。しかし、果物の重要性は薄まるわけではありません。
・生食100%勧めない理由は、動物性食品には、生野菜や果物だけではどうしても不足する栄養素が多くある
 からです。なかでも、アミノ酸とビタミンB群です。また、食材として、野菜自体にも問題が発生しています。現代
 の生野菜は、農薬の大量使用による土壌の悪化などで、昔とは比べ物にならないほど栄養価が落ちていま
 す。当然酵素の量も少なくなっています。
・このことから、現代人は、生野菜や果物だけでは、栄養学的に満たされず、免疫力もつかないと考えられま
 す。ですから、全体の20%ほどは動物性食品が必要です。肉類、魚介類、卵などを適宜(てきぎ)、食事に加
 えるのです。
・ここで、加熱食(過熱食ではない。熱を加えた食物のこと)ついて触れる。食物には、加熱した方が、栄養価が
 高かまる食品もあります。大根やシイタケなどは生よりも干した方が繊維もミネラルも豊富になりますし、ニン
 ジンも炒めたり茹でた方が、栄養吸収されやすくなります。
・煮野菜にすると細胞が破壊され、内部の栄養が吸収されやすくなり、消化もよくなります。酵素は、加熱で失活
 しますが、生の野菜と併用して食べることで、栄養面、消化面の双方を充足できるので、正しい食事と言えま
 す。1日の野菜摂取量は400~500g以上を目標にし、半分以上を生の野菜、残りを加熱した野菜で食べる
 と良いでしょう。
・現代は、野菜だけではなく、肉料理、魚料理、はてはファストフードまで加熱食の割合が圧倒的多数を占めて
 います。生食が絶対必要なのは言うまでもありません。生食6対加熱食4、譲っても5対5と言うバランスが大
 事だと言えます。

○和食の効能
・日本ほど、食物を生で摂ると言う食文化を大切にしてきた国はありません。刺身、鮨は海外でも有名ですが、
 魚から食物酵素と摂る一番いい方法は、刺身です。欧米には、魚や肉を生で食べる食習慣はありません。
・また、植物性食品においても、日本人は漬物と言う火を通さない調理法で食物酵素を摂る知恵を持っていまし
 た。この豊富な食物酵素摂取が、日本人の長寿を支えてきたと考えます。
・納豆や味噌などの発酵食品も、日本人の知恵です。これらの発酵食品は、発酵の過程で、微生物が作る酵素
 や物質が体内酵素の働きや代謝、解毒を助けています。ガンの防止にも、大きな力を発揮しています。
・しかし、現代の日本は、ガン、糖尿病などの生活習慣病や、アルツハイマー病など老人性疾患の急増に苦し
 んでいます。子供ですら、肥満増加など生活習慣病と無縁ではなく、今後に大きな課題を抱えています。その
 問題の殆どは、食の乱れから起こっています。
・いま、私たちはもう一度、祖先が知恵を絞り、工夫して作り上げてきた食文化を見直す時期に来ているのでは
 ないでしょうか。

○私感
・生食を摂らず、過熱食(⇒加熱食ではない)を多く摂ると体内酵素である潜在酵素を消耗することになる。潜在
 酵素は、一生の間で一定量しか産生できないことを考えると、免疫力を強化する代謝酵素に回す量が少なく 
 なると言うこと。
・何とか、生食などの体外酵素を多く摂り、潜在酵素を節約し長生きしたいものだ。

【参考文献】鶴見隆史著『「酵素」の謎』

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